« 「炎のバッツィー」 加藤幸子 (新潮2007年6月号) | トップページ | 「てれんぱれん」青来有一 (文學界2007年7月号) »

2007年6月 1日 (金)

「オブ・ザ・ベースボール」 円城塔 (文學界2007年6月号)

第104回文學界新人賞受賞作。
作者は昨年の小松左京賞の最終候補にもなっていて、その作品「Self-Reference ENGINE」は既に単行本化されている。
こうしたSF畑的な人が受賞したというのは、とても面白い。
久々に、純文学の枠を拡大してくれそうな才能である。


物語は、人が空から降ってくる町が舞台で、主人公はそれをバットで打ち返すレスキューチームの一員である。
人が空から降ってくるのは一年に一度あるかないか。
そのため、レスキューチームの出番は少ない。少ないが決してヒマではない。
なぜなら、いつ人が降ってくるかわからないからだ。


これは、なぜ人が空から降ってくるのかという謎に立ち向かう話ではない。
レスキューチームの「俺」がえんえん考える、日々のよしなしごとに耳を傾けることが話の中心である。
実際、人は空から降ってくるが、あまり劇的ではない。
「俺」がただひたすら任務について語ることが主軸なのだ。


したがって、語りによほど魅力がないと辛い。
語り口は、どちらかというと男っぽい口調でキレがある。
ヴォネガット風と指摘した評者もいたが、言われてみれば、ある種SFっぽい語りなのかもしれない。
このSFっぽい語り口は、好き嫌いが分かれるところだろう。
(個人的には、残念ながら、あまり好きな口調ではなかった・・・)
ともあれ、第2作以降、どういうものが出てくるか楽しみな作者である。
(文学界2007年6月号)


Self-Reference ENGINESelf-Reference ENGINE
円城 塔


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

|

« 「炎のバッツィー」 加藤幸子 (新潮2007年6月号) | トップページ | 「てれんぱれん」青来有一 (文學界2007年7月号) »

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/45668/15274244

この記事へのトラックバック一覧です: 「オブ・ザ・ベースボール」 円城塔 (文學界2007年6月号):

« 「炎のバッツィー」 加藤幸子 (新潮2007年6月号) | トップページ | 「てれんぱれん」青来有一 (文學界2007年7月号) »