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2006年12月 3日 (日)

「裏庭の穴」 田山朔美 (文學界2006年12月号)

 第103回文學界新人賞受賞作。
 娘にせがまれて買ったミニブタを世話する主婦。ブタは日に日に大きくなり、もはやミニブタとは言えなくなるほど巨大になる。
 主婦は孤独である。いつも不気味な監視をしている隣人、浮気をしている夫、家族と没交渉の娘。話し相手はブタだけである。
今どきの主婦の悩みをデフォルメしたような作品だ。
 
 落語に「堪忍袋」という噺がある。
 不平不満をすべて吸収してくれる便利な袋。しかし、よってたかって皆で不平をぶちこんだ結果、最後は破れて、ぎゅうぎゅうに詰め込まれた不平の叫びが一挙に飛び出すというオチである。
 このブタは、まさに堪忍袋の如く、主婦の不平を呑み込んでいく。
 便利なブタである。しかし便利なものには必ず落とし穴があるものだ。

 ややホラー仕立てのストーリーなので、話の行方を追っていくうちに、読めてしまう。
 題名にもなっている裏庭の穴とブタの関係はよくわからない。ブタだけでもいいのではとも思う。しかし、裏庭という、今では絶滅に近い場所を持ち出してくるのは、いかにも何かありそうで、不気味な雰囲気を盛り上げることに一役買っている。

(文學界2006年12月号)
 
三代目 三遊亭金馬 名演集 7 やかん/堪忍袋/山崎屋
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