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2005年11月18日 (金)

「課長 島雅彦」阿部和重 (新潮2005年11月号)

 これはどこから見ても、作家島田雅彦への悪口である。その証拠に、当の島田雅彦が翌月の文學界新人賞選評で明確に噛みついている。以下一部引用する。

「(中略)幸か不幸か、私は小賢しい三十代に対しては、哀川翔みたいに兄貴面する癖があるので、これを押した。どうぞ、阿部和重みたいに、メンタル・ディプレッションにあえぐ盟友のために、その作風を模倣しつつ、誰かへのあてつけで、ブログのジャンク・ニュースを書くような真似をしてください。私は金輪際、兄貴面、先輩面、課長面するのはやめ、古井由吉氏や松浦寿輝氏とともに物狂いへの道を進みますから。(後略)」

 完全に怒っている。これほど正面から怒ってくるとは、阿部氏も予想していただろうか。しかし島田氏の言葉にも一理あって、今回の小説は、どこから見ても、阿部氏の友人である中原昌也の小説スタイルの模倣である。自分では模倣することで洒落たつもりだろうが、他人は、島田氏が指摘するように、ああやっぱり阿部と中原は仲がいいんだねえ、という印象を強化するだけだ。
 私は以前から、阿部氏、中原氏、そして青山真治氏を含んだ三人の「つるみ」具合が、どうしても、なあなあの関係に見えて仕方がない。いくら仲良くても、互いに対する批評眼を失ったら、それは単なるネオ文壇とも言える仲良しクラブでしかないだろう。極論すれば、作家はやはりあらゆる意味で「ともだち」を作るべきではないだろうし、「ともだち」を必要とする時点で、もう小説など書く必要はない。
 この際、丸山健二の「生きるなんて」でも読んでみてはいかがだろうか。

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